住宅購入の契約後に取り消しはできる?

18.04.22

 

 

 

住宅の売買契約の取り交わしをした後に、致し方ない理由で契約を解除する必要が出てきてしまったとすると、契約の解除は出来るのでしょうか?

答えはYESです。しかし、理由によっては解除が難しかったり、解除に費用が発生する場合もございます。

一生に何度も無い大きな買い物ですので、後悔無く購入へ進むためにも契約解除については事前に把握しておきましょう。

 

 

契約解除の一般的な方法 -クーリングオフ-

 

クーリングオフとは、住宅に限らずあらゆる契約内容において、一定の条件を満たした場合に契約解除が出来るという制度です。不当な契約・販売から消費者を守るために作られた制度ですが、『無条件に契約を一方的に解除する』という非常に強い権利でもあるため、むやみに認められるわけではありません。
 

住宅購入においては下記の要件すべてに適しているかどうかがポイントとなります。

 

一般の買主であること

 
クーリングオフ制度はあくまで宅建業者以外の一般の買主に限定されます。また、クーリングオフは一方的な契約解除のため、売主が素人の場合は大きな混乱を招いてしまいますよね。そのため、クーリングオフは売主が「宅建業者」の場合にしか適用できません。つまり、住宅購入におけるクーリングオフは、「売主が宅建業者(不動産屋・建築業者)」で「買主が宅建業者ではない場合」に適用されます。

 

 

 

冷静な判断が出来ない場所で申込をした

 

不動産会社の事務所やモデルルームなどで申込みをした場合は、クーリングオフができません。また、買主が自ら自宅や勤務先などを指定して申込みをした場合も同様です。なぜなら、買主が自ら足を運んだ・自ら指定したということで、ある程度冷静な判断をした上での行動であるからです。
 

これに対し、喫茶店やテント張りの案内所、ホテルなど冷静な判断がつきかねる状況で行われた申込みについては、クーリングオフの対象となります。また、不動産会社が勝手に自宅や勤務先に営業でやってきた場合もクーリングオフが可能です。
 

ここでいう「申込み」とは、申込書や契約書を書くことそのものを指しているのではなく、「住宅を購入すると判断したこと」を意味します。つまり、住宅を購入するかどうかの判断を不動産会社の事務所やモデルルームでした場合は、後にホテルで契約書を書いたとしてもクーリングオフはできません。あくまで「購入するという判断を、冷静になれる環境でできたのか」という観点で判断されます。

 

 

クーリングオフできる期間内である

 

クーリングオフをできる期間は、「クーリングオフについて書面を交付して告げられた日から起算して8日以内」が期限です。この期限を過ぎた場合は、他の要件を満たしていたとしても、クーリングオフによる解除はできません。

また、クーリングオフ期間の起算点は、「クーリングオフについて書面を交付して告げられた時点」です。契約等から8日以上経過していたとしても、クーリングオフについて書面の交付を受けて説明されていなければ、8日以上経過していてもクーリングオフができます。ただし、物件の引渡しを受けていた場合、代金を全額支払っている場合はクーリングオフできません。

 

 

 

*クーリングオフをする方法

 

クーリングオフの要件に該当する場合は、書面でクーリングオフを行使することが可能です。口頭でクーリングオフはできません。書面とは、ハガキ・手紙・内容証明郵便・ファックスなど、どれも可能ですが、クーリングオフはその権利を行使したタイミングが8日以内かどうかを客観的に証明する必要があるため、書面を提出した日付がとても需要です。
 

クーリングオフをする場合は、日付が証明できる配達証明付内容証明郵便で送ることが確実な方法です。

 
 

このように書面でクーリングオフをすれば、それまでに支払った手付金や仲介手数料などについてはすべて返還されます。なお、クーリングオフには理由の記載は必要ないため、なぜクーリングオフをするのか理由を求められたとしても説明する義務はありません。

 

一定の要件を満たせば申込みを無条件に解除できるクーリングオフですが、価格が高額な不動産の売買においては、売主側とトラブルになる可能性もあります。そのため、不動産売買におけるクーリングオフは可能な限り避け、購入する際には、その場で安易に判断せずに、冷静に検討することが大切です。

 

 

 

 

契約解除の理由

 

契約解除にも様々な理由がありますが、理由によっては事前に支払った手付金が返ってこないケースもございます。起こりうる可能性の高い契約解除の理由と、解除に際する手続きについてお伝えします。

 

住宅ローンの審査が通らなかった場合

 

購入申込をした後に、その物件を購入するための住宅ローン審査をしたところ、「審査に通らなかった…」というケースはよく耳にします。この場合、契約を解除することは可能です。

一般的には「住宅ローン特約」が適用されるので、ローンが通らなかったからといって、事前に支払った手付金が戻ってこない・現金で無理やり買わされる、なんてことはありえません。
 
ただし住宅ローンの審査に不安のある方は、事前に「住宅ローンが通らなかった場合はどうするか」を売主・不動産屋としっかり話し合っておきましょう。また審査に通った後に契約手続きを進めるようスケジュール調整をすることも大切なポイントと言えます。

 

 

宅建業者から正しく告知されなかった瑕疵がある場合

 

雨漏れ、地盤沈下、近隣トラブル、心理的瑕疵など、物件によっては「告知義務」のある瑕疵がございます。これらについては売買契約前の重要事項説明にて説明する義務がございますが、これらの説明責任が果たされないまま契約が行われ、その後瑕疵について発覚してしまったとすると、契約の解除は出来るのでしょうか?
 

これはもちろんYESです。そもそも「告知義務」のある瑕疵について事前に告知しないまま売買契約を結んでしまうという行為自体が「宅建業法違反」になります。「宅建業法違反」により締結された売買契約については、当たり前ですが解除が可能です。また事前に支払ってあった手付金も戻ってきます。

 

 

買主の勝手な都合で解約をする場合

 

宅建業者としての告知・業務は確り行われ、住宅ローン審査にも通り、引渡しに向けて動いている最中。「他に良い物件が出てきたから」「やっぱり気に入らない所があるから」など、買主の勝手な都合により契約を解除する場合は、解除そのものが難しい上に手付金は戻ってこないと思っておいた方が良いでしょう。
 

購入申込(買付)を出した後は、問題なく売買契約を締結するために、宅建業者だけでなく司法書士や売主など様々な方が一斉に動き出します。そこにはもちろん費用も発生しますし、売主に至っては引っ越し業者を手配する場合もあり、売主とのトラブルにも繋がりかねません。手付金を払うということは、物件を買うということだけでなく、複数の関係者の時間と労力を買ったという意味合いもございます。ですので、解除は出来たとしても手付金が返ってくるケースは非常に少ないと思われます。
 

購入の申込を出す前にしっかりと立ち止まり、その後後悔なく住み続けられるのかどうかを判断した上で結論を出しましょう。

 

 

その他、致し方ない理由

 

例えば売買契約後に病気で倒れてしまった(支払いが出来ない状態になった)、親族の不幸があった、転勤になってしまった、など、想像できない不慮の出来事に遭ってしまい購入が困難となった場合には、致し方ない理由として契約を解除することが出来ます。ただし手付金については細かな取り決めが無いため、戻ってくるかどうかは宅建業者や売主との相談になります。

 
 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

このように契約の解除にも理由によって処理の仕方が変わってくることが分かりました。想像しえない理由により解除に至るケースもございますが、買主の都合による解除については大きなトラブルになった事例も数多くございます。
 

契約の印を押す前に、また購入申込に記入をする前に、冷静になって判断することを心がけましょう。